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現在犬ぞりレースのYukon Questが開催されていて、1600キロもの距離を犬14頭とマッシャー(犬ぞり操縦をする人)1人で走るレースです。1600キロと言えば日本で言うと青森から下関ほどまでの距離だそうで、コースのほとんどは人気のほとんどない原野の中で、山越えも4回行います。時には気温がマイナス40度やマイナス50度にもなることもありますので、長時間の野外での犬ぞり以前に寒さに対処する方法を知っておかなくてはいけません。こうした事実だけでもユーコンクエストが「世界一過酷な犬ぞりレース」と呼ばれているのもわかるような気がしますね。

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tNtは過去にYukon Questの大会を何度か追ってみましたが、観客として見ていてもそのドラマが伝わってきます。コースには10箇所ほどのチェックポイントがあり、小さな集落に行くと犬ぞりチームの姿を見ることができます。スタート時は14頭で走っていきますが、途中で犬の調子などがよくないと判断すると無理をせずにチェックポイントで置いて行きます。ハンドラーと言われるお手伝いさんたちがレースを追って行きますので、置いて行かれる犬たちは彼らのもとに預けられます。獣医さんやボランティアさんもチャックポイントで待機しており、犬の調子を見たり大会の運営を手伝ったりしたりしていますので、その様子を見るだけでもレースの雰囲気が味わえるでしょう。

チェックポイントに着いてもマッシャーたちは十分に休むことはありません。犬の餌やりや藁を敷いての寝床作り、自分のご飯を食べたりしているうちに時間はあっという間に過ぎていってしまいます。最後にマッシャーが睡眠をとりますが、短時間の仮眠をする場合がほとんどですので、レース中は常に睡魔と戦っている状態です。ユーコンクエストほどの長距離レースに出るには200万円から300万円ほどの資金がかかると言われており、秋から冬にかけての毎日のトレーニングに時間もかなりとられます。毎日40、50キロは走るチームもいますので、相当な量のトレーニングを積んでいることがわかります。おまけにトレーニング中は訓練が優先されますのでまともな仕事ができません。大抵のマッシャーたちは夏に稼ぎ、残りの季節はトレーニングやレースをしながら細々と暮らしている人がほとんどでしょう。もちろん稼いだお金のほとんどは犬の世話やレース資金へと消えて行きます。ユーコンクエストや優勝しても賞金と必要経費が同じぐらいですので、お金目当てで行なっているものではないことは明らかです。ではなぜこんなに大変なトレーニングをして、お金をたくさん使って寒い中を頑張って走って行くのでしょう?

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犬ぞりレースには極北の伝統とドラマがあるからではないのか。レースを何度か追っていてそう思いました。極北が外部の世界に大きく開かれたのは1898年のゴールドラッシュ以降で、それ以前は先住民や一部の白人しか住んでいないまさに秘境と言える大地でした。ゴールドラッシュが始まってからも、金があまり採取できなくなると人はいなくなり、本格的な近代化が始まったのは第2次世界対戦の時期です。アラスカハイウェイが戦時中に建設され、そこから車社会へと徐々に変わって行きましたが、それ以前は冬は犬ぞり、夏は蒸気船やカヌーや筏で川を下るのが主な移動手段でした。車がない時代は犬ぞりがないと物資を運ぶこともできませんでした。ノームというアラスカの集落で疫病が蔓延した際に、犬ぞりで血清を運んだのは極北では有名なお話です。犬ぞりは近代化と共にスノーモービルに変わっていき、伝統的な犬ぞり自体は生活の移動手段としての役割を終え、徐々にスポーツ化して行きました。今ではスポーツや趣味として犬ぞりを行なっている人がほとんどです。

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ただ今でも極北の人々の中には、犬ぞりが極北の生活に果たしてきた役割の認識、そして厳しくも美しい原野を動物たちと走るロマンが残っているのだと思います。今でも極北には人の力が及ばない大自然が残っています。厳しい冬の原野に犬と共に挑みながら進んでいくという姿が、人々の感動を誘うのではないでしょうか。今年のレースはアラスカのフェアバンクスから出発し、ユーコンのホワイトホースでゴールします。今トップのマッシャーたちは、半分地点のドーソンへ向けて走っているところです。ユーコンクエストの大会のHPでも彼らの現在地や順位が分かったりしますので、興味のある方は覗いてみて下さい。

今年はtNtツアーとしてはレースを追いませんが、ゴールのホワイトホースでマッシャー達が入ってくる姿を別のツアーの参加者たちと観戦しに行く予定です。今年はtNtとしては初めて大会に合わせてセスナも飛ばす予定ですので、空の上から原野を走るマッシャー達も見ることができるでしょう。優勝者のホワイトホースでのゴールは2月12日の予定です。誰が優勝するのかは気になりますが、それ以上にマッシャーと犬達がベストを尽くした結果、無事にゴールする姿をみたいと思っています。(2019年のtNtユーコンクエストツアーはこちら

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新しいtNt HP

tNt Nature Connectionsの新たなHPがほぼ完成しつつあります。1週間ほど前に公開してから、少しずつ手直しをしているところです。前回のHPはビジネスを立ち上げた当初に作ったもので、内容と今行なっている現実との間にギャップが出てきていました。そこで去年の春にHPを作り直すことを決め、夏から本格的にツアー内容や記事を考えて書き始めていたところです。

今回のHPのテーマは、なるべく多く情報と写真を載せること。オーロラに関する情報やユーコンの夏に関する情報を、文章と写真を使ってできるだけ細かく書いたつもりです。ツアーを売るだけでなく、ツアー参加を検討している人やただ情報を欲しいだけの人にも役立ってくれればと思い書き上げました。写真も今まで撮りためたものが大量にあったのですが、時間をかけて選りすぐったつもりです。

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実はこのHPを作ってくださっているのは日本の沖縄の方で、北海道に住んでいた頃にできた縁がある方の会社が作ってくれています。以前スカイプでミーティングをしたことがありますが、沖縄は20度、ユーコンはマイナス30度といったこともありました!全く別の世界に住んでいる方に作ってもらっているのは不思議な感じですが、ユーコンのことを客観的に書こうとする面ではよかったかなと思います。
いろんなわがままを聞いて作ってくださったHPです。今年の秋の帰国時にはタミーとの約束で沖縄に行く予定ですが、実際に作っていただいた従業員の方にもお会いしたいものです。

世界中に素晴らしい場所がある中で、なぜユーコンに行きたいと思うのか。ユーコンでもなぜtNtと一緒に旅行したいと思うのか。このあたりを考えてツアーを作っているつもりですが、自分の会社という前にまずはユーコン全体のことをよく知ってもらう必要があります。そういった意味合いもあり、オーロラやユーコンの情報を多く載せました。ユーコンのホワイトホースの現地に来ていただければ、今までの多くのガイドと旅経験がありますので、ゲストがユーコンを楽しんでくださるツアーを行うことができます。そのスタートラインにどうやって来ていただくか。そこがガイド会社を経営する上で一番考えるところです。

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tNtは僕自身が自然写真を撮影しますし、タミーも教員経験が長いので、自分たちの好きなこと、得意なことを織り交ぜてツアーやプログラムを作ったつもりです。体験から裏打ちされたツアーは必ずゲストの心に響くのではないかと信じています。なかなかHPだけでは伝わらない部分もありますが、ユーコンとtNtの一部でもHPを通して少しでも伝わればと思っています。

新しくなったtNt HP是非ご覧ください。これからも微調整をしながら、ブログや写真、ツアー内容を更新していこうと思っています。新しいtNt Nature Connectionsをよろしくお願いします!

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ガイド業をやっていると、体が資本だなとつくづく思います。自営業で他にガイドも雇っていないので、基本的には全ての作業を自分でこなします。

ツアーの企画からマーケティング、ツアーの装備の購入や管理、車両の購入や管理、ライセンスや保険の加入と更新、ツアーのガイド、予約管理、事務作業、経理、業界の人とのネットワーク作りなどなど色々やることが出てきます。実際にお客さんと時間を過ごすツアー自体は、コンサートに例えると「本番」のようなもの。色々準備をしてきた中で「さあ行くぞ!」という瞬間で、それ以外にお客さんからは見えない部分の作業がたくさんあるのが現実です。

ガイドの自営業をする上で一番大切なのは体の管理。自営業ですので体調が優れないと困りますし、調子が悪いからと言って普通の会社のように休める訳ではありません。普段からの健康を意識した体づくりが大切になってきます。tNtが健康管理の一環で行なっている行なっているものは、年に2回のクレンジングです。食事を12日間制限して、ハーブを取りながら体の中(特に胃腸)をきれいにして行くというもの。ツアー時期は外食が多くなりがちですし、オーロラ鑑賞などをすると生活のリズムを保つのが大変になり、体に負担がかかってきます。クレンジングをすると最初の3、4日は体から毒が排出されて少々辛いのですが、その後は頭がスッキリとして心も軽くなってきます。お酒も12日間断ちますので、終わる頃になるとなぜ普段お酒を飲んでいるのかが不思議になるくらいです。クレンジングの嬉しい効果としては、余計な体重が落ちること。お酒も飲みませんし、砂糖分もとりませんので当然体重は減って行きます。意図してダイエットしている訳ではありませんが、12日後には脂肪が落ちた引き締まった体になっているのは嬉しいことです!クレンジング後はまた少しずつ元の生活には戻って行きますが、1年に2回食事習慣をリセットをするようにしています。今は実は今年最初のクレンジングを行なっているところで、今日で5日目。今回は頭が痛くなったりしませんので、体に毒があまり溜まっていなかったのでしょうか?

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クレンジングの他には運動やストレッチも取り入れています。合気道をここ10年ほどやっていますが、週に2回ホワイトホースの道場に通って練習しています。試合がない自己鍛錬の合気道ですが、自分の体の使い方やバランスを整える意味では良い武道です。先生がフランスで30年以上合気道をしてきた人で、日本の武道の伝統の雰囲気はなく、皆で和気あいあいと楽しくやるような感じです。これもまた移民の国カナダらしく、こちらの性格にもあっているのかなと思います。

そしてもう一つは今年から始めたストレッチのような運動の「エゴスキュー体操」と言われるもの。実は去年に北極圏原野のカヌー旅を行なった後に、カヤックを持ち上げた際に腰を痛めました。それ以来鍼などに通っていましたが、腰の痛みは完治せずに騙し騙しやってきた感じがあります。オーストラリアの友人の勧めで始めたエゴスキューですが、これが自分にはあっていたようです。今では腰や他の部分の痛みがほぼ取れてしまいました。体の歪みを直すことから始める根本治療ですが、定期的にサボらず行うのが改善のコツのようですね。腰の痛いかた、おすすめですよ!

体の他にも心を整える作業も時折しています。自然の中に積極的に出てみたり、朝からメディテーションをしたり、たまにヒーラーの友人に頼んで体と心のエネルギーを調整してもらったりしています。目には見えない心の世界を調整すると、体の調子が良くなってきたり、気持ちが晴れてきたり、新たなアイデアが浮かんできたりと色々体感できるようになってきます。体と心は繋がっていますので、どちらかを疎かにしてもダメなもの。tNtのビジネスモットーも「Connections with Nature」ですので、「外なる自然」と「内なる自然」に向き合って暮らして行ければと思っています。

健康は誰にとっても一番重要なもの。いくらお金や時間があっても、健康的な体や心がないと人生楽しめません。普段から意識して体づくりをして行くのは誰にとっても大切な事かもしれません!

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